一か月後に迫る全関(全関東学生弓道選手権大会、於日本武道館)に向け、弾みのついた試合となった。

 

 悲願のリーグ一部昇格を目指す早稲田大学女子部弓道部は、4月29日(月)に行われた、女子部記録会(明治神宮武道場至誠館)に参加した。

 

写真:早稲田大学女子部弓道部。前主将の正木が卒業し、新たな体制でスタートを切った。

 

 この試合では、各大学から一名ないしは二名が出場し、各自40射の的中数を競い合う。

 早稲田大学弓道部は、2015年に森川未和子(当時2年)が準優勝、2016年(当時3年)に優勝を勝ち取って以降、入賞からは遠ざかっている。

今年、当弓道部からは村井杯百射会で女子部優勝を果たした渋谷(二年)、そして福島(二年)の二名が初出場を果たした。

昨年より活躍している2年生がそろって出場となり期待が高まったものの、渋谷が25中、福島が15中と惜しくも入賞には届かず、中村選手(日本大学)が38中で優勝、鴨川選手(桜美林大学)が36中で準優勝、武政選手(日本大学)が36中で3位という結果となった。

上位ではハイレベルな試合が展開され、目指していた入賞こそ叶わなかったものの、両選手にとって多くを学べた試合となった。

参加した両選手に、試合を振り返ってもらった。

 

 

 まず一人目は渋谷だ。

 

 「早稲田の代表として出させていただいたため、早稲田の名をけがさないようにできるだけのことはやろうと考えていました。」
渋谷はそう話す。彼女は入部当初より団体戦メンバー入りし、女子部の最前線で活躍を続けている選手だ。記録会前には本番を想定し1日80射を欠かさず引き、約8割の的中を維持していただけに、悔しさの残る結果となった。
 
写真:記録会で弓を引く渋谷。右から2番目
 
 「自主練で40射引くのと試合で40射引くのは疲労の度合いが全く違い、とてもきつかったです。その結果的中数は25中で、これが今の自分の実力だったと思います。」
と試合の反省、悔しさを口にする。しかし彼女は決してあきらめたわけではない。
 
写真:大学の弓道場で自主練をする渋谷。2年生となり、部の中で担う役割も大きくなっている。
 
 「これから、全関、インカレ、リーグと大切な試合が待っています。そのなかで私は早稲田の名を背負って戦い、女子部悲願のⅠ部リーグ復帰を果たしたいです。私は決して今回の結果を自分の限界だとは思っていません。悲願を果たすため、これからもより一層精進していきたいと思います。応援ありがとうございました。」
 
 続いては福島だ。
 
 「自分の射の課題は、同じ事を繰り返せないこと、そして試合で練習通り引けないこと。記録会では、同じ射を40射繰り返すということを目標にして、今後の自分のためのステップアップの場にしようと考えて臨みました。」
 
 試合前、このように考えていたという福島。昨年8月のインカレ(全日本学生弓道選手権大会、於名古屋ガイシホール)には、一年生ながら渋谷とともに個人戦に出場したものの、結果を残すことはできなかった。それから9か月。着実に成長を重ねつかみ取った記録会の出場だ。そんな彼女にとって、この記録会はどのような試合だったのだろう。
 
 「同じ射を繰り返す、という目標については、形としては出来ていました。しかし、伸合いの精度など内側で働く力が不十分で、見た目が同じでも的中は練習の半分くらいしか出せませんでした。練習の段階で、もっと力の働きや伸合いに注目してやっていくことが必要だったと思います。」
と自分の射を冷静に分析する福島。射の感触としては悪くないが、練習のように的中を伸ばすことができない。本人にとっても苦しい試合となった。しかし、そんな時に彼女を奮い立たせてくれた存在があった。
 「なかなか的中が出ず気分が沈んでいた時に、同期や先輩方が応援に来て下さったり、言葉をかけてくださったりしたのがとても力になり感謝しています。」
 
 
写真:記録会で的を狙う福島。自身初の記録会となるが、最後まで堂々と引ききった。
 
 そして最後に、今後の目標についてこう語る。
 「今までは的中も射も安定しておらず、選手としての自分に対して全く自信がありませんでした。しかし、練習の意識を変えて矢数を掛けることで徐々に安定することができ、自分がチームとしての目標達成に携わっていきたいという自信に繋がりました。これからは、出させて頂ける一つ一つの試合や大会で選手として成長し、チームとしての勝利を貪欲に求めて勝っていきたいです。」
 
 それぞれの新たな志とともに幕を下ろした2019年女子部記録会。すでに部内では5人の全関のスターティングメンバ―が発表され、両名共にメンバー入りを果たした。また他の部員も、全関後に控えるインカレ、リーグ戦に向け猛練習を重ねており、部内競争も激化している。早稲田大学女子部弓道部は、9月にはじまるリーグ戦でのⅠ部復帰に向け、低迷は許されない。
 
 「勝ちたい。いや、勝ちます!(渋谷)」
 
 決して簡単ではない大きな目標。その達成に向け熱い夏が今、始まる。
 
 
(文責…広報2年 二宮)